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ゴジバの帰郷~2~

実は、今、BSでゴジラの音楽を聞きながらこのブログを書いている。
ゴジバのことを書くのにこんなふさわしいBGMがあるだろうか?
偶然とはいえ、何とも言えない気分になっている。


記憶の中のゴジバ邸は、築3年目のピカピカしたものだった。

それから約30年の時を経て、
また長く留守にしていた影響もあったかもしれないが
日に焼けた玄関は重々しさを失っていた。

夏至が近かったその日、
私がゴジバ宅に着いたのは7時近かったが
まだ十分外は明るかった。

呼び鈴は壊れており、軽くノックをしてドアを開けると
その先の居間の椅子にゴジバは置物のように座っていた。


少し大きな声で「すこべえです」と声をかけた。
おもむろにこちらを向いたゴジバを見て、一瞬ひるんだ。
2年でさらに老いが増したこともあるだろうが、
なにより顔がげっそりやつれていたからだ。

声だけではピンと来ていなかったが、告白通り生半可な状態ではないらしい。

室内の移動は杖や何かにつかまりながら・・。

整理整頓などできる体ではなかった。

それでもゴジバは
時折、近所の50年来の友人の助けを借りながらも
そして、家の売却で知り合った不動産屋さんの助けのおかげで
一人で暮らしており、
帰郷のための事務手続きもほぼこなしていたのだった。

私がひるんだのは、そのゴジバ自身の変貌だけではなかった。

主要な荷物を送ったとはいえ、
私たちが発った後、残りの荷物を処分することになっていた。
そのこともあって
いわば現在進行形のごみ屋敷の体も醸し出していた。
ごみ袋をそのまま室内に置いていることもあって
コバエが飛んでいた。

床には何かしらのものが散乱していた。
コトには無理だろうなあ・・と思いながら
あまり気にしないようにして部屋にあがっていく。

不動産屋さんはもう何度か来ていて
全く意に介さないように見えた。
その日私を送って来てくれたのは、親切心だけではなく
また一つ、契約に関する書類を渡すためだった。
勝手知ったるなんとやらでゴジバと玄関わきの書斎に入ると
書類についての説明を始めた。

書斎は私が以前、泊めてもらった部屋だった。
当時はベッドと、ビニール製の簡易の洋服ダンスがあって
まさにゲストルームだった。
そこには今、大きな机が真ん中にでんと2,3据えられ
部屋の2面の壁には、それぞれ巨大なスチールの本棚。
大分空いているとは言え、それでもまだ辞書が並んでいたりした。

ご近所の長年のご友人にも声をかけ
ひとしきり挨拶や何かが済むと、
お二人はゴジバ邸を去っていった。

すっかり夜になっていることに気付くと
ゴジバは「ご飯にしよう」という。

書斎で掃除機を見つけたので、あれで軽く居間を掃除したかったのだが
どうやらご飯を先にしたいらしい。
不自由な体を押して、ゴジバはご飯を炊いてくれていた。

冷蔵庫の中には近所のお友達が買ってきてくれたお惣菜がひとしきり残っていた。
さらにジャガイモ・玉ねぎがあり、出汁の素、味噌も差して
「味噌汁も作っていいから」

これは「作ってほしい」という意思表示なのだろうと
慣れない台所での料理が始まった。

和室も含めほとんどの部屋が絨毯敷きだったが
キッチンだけはビニールのタイルのようなものに覆われていた。
30年前の我が家がそうだったように・・。
水がこぼれても平気で、割れ物が落ちてもわれにくく
掃除もしやすい・・はず。

だが、体の自由を奪われて、生きて生活するのがやっとのゴジバには
そんな余裕などなかった。

しかも、後でわかったのだが、目の老化も急激に進んでいたので
おそらく私が気づくほどには床の汚れなど気にならなかったのだろう。
不思議だったのは、キッチンのあちこちに、
木枯らしが吹きこんだのかのように葉っぱが落ちていたことだ。
これはすぐ後に気付いたのだが
ゴジバは便秘解消のために長年センナの葉を煎じ、飲んでいた。
その葉っぱだったのだ。

ご飯とみそ汁、お刺身を含む冷蔵庫のお惣菜を居間のテーブルに並べて
ゴジバとの夕食が始まった。

もちろん、食事をする居間のテーブルは軽くスペースを空け
台拭きでしっかり拭いておいた。

ゴジバはここのところ食欲がなく、
唯一食べられるのが卵かけごはんなのだという。
そのゴジバが少ない量とは言え、私が作った味噌汁をおいしいと言って食べ、
お惣菜にも手をつけた。

わたしはというと
味噌の違いか、センナを煎じた(であろう?)鍋で作ったせいか
なじみのない味に少々困惑しながら、とりあえず注いだ分だけ食べた。
また、お刺身に今まで感じたことのない違和感を覚え
もしかしてしょうゆの風味が落ちているのかもしれない・・とその原因を考えるとともに
「最近美味しいというのがわからない」と味覚の衰えをぼやいていたゴジバの舌は
案外、正常なのでは・・と思ったりした。
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カテゴリ: ゴジバのこと

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