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20年ひとむかし

作家の野坂昭如さんが亡くなられた。

私たちの世代だと、CMの「ソ、ソ、ソクラテスかプラトンか」がまず思い出され
そして何と言っても「火垂るの墓」だ。

この「火垂るの墓」を含む一連の作品で直木賞を取られたというのは
今回の訃報を見ていて新に認識したところだけれど
その中で
自らの体験を作品にするのに20年かかった・・
ということを聞き、
この20年という時間の長さになんだかとても納得している。

今年は私たちが地元に戻って暮らし始めてちょうど20年の年だったからだ。

夏には
私と子供たち家族の原点となったある町へ22年ぶりで訪れ
その出来事もまた
この20年という時の流れを実感することになったからだ。

その町へ子どもと訪れることは、
20年前、地元に戻ってきたときからの悲願でもあった。

当時知り合って年賀状のやりとりをしていた方には
「今年こそあのまちを訪れたい」と
印刷の添え書きに何度か書いたくらいだ。
・・まあ、なかなか他に書くことが思いつかなかったということもあるのだけど・・。

あの町で過ごした時間を
同じ町で確認したいというのもあった。
行先は英語圏。
あの時ほとんどのことをパートナーにまかせっきりでいた私が
今度はほとんどの手配を自分一人でしなければならないのはちょっと不安だった。
子どもが小さいうちに思いきれなかったのは、
自分の英語力に自信がなかったから・・。
ただ、この15年くらいの間に、インターネットでいろんなことができるようになっていた。
飛行機の切符を直接旅行店に手配してもらって以降は
何とか一つ一つクリアしていった。
レンタカーもホテルも、サイトから日本語で手配できたのはありがたかった。

そして22年ぶりにようやくその地に降り立った。

小さな地方空港と思っていた空港も、知らぬ間に立派になり
全てが圧倒される思いだった。

記憶の中では
空港と市街地を結ぶ道は何もないだだっ広い中を突き抜けていくような気がしていた。
とはいえ、通ったのはかつて2度だけ。
だから自分の記憶がどのくらい確かなものか分からないけど
広野の中の一本道というのはなく、
いつの間にか住宅街の道へと突き進んでいった。

ダウンタウンに差し掛かった時、
確実にここは私の知っていた町とは変わってしまったのだと
思い知らされることになった。

友人夫妻はかつてダウンタウンの高層アパートに住んでいたが、
それがランドマークになるかもしれないくらい
上に伸びるビルは当時そんなに多くなかった。
田舎ののんびりした町だと思っていた思い出の地は
いつしか人口も増え、
立派な街になっていたのだ。

ふとわが町を振り返ると
何もなかった場所に大きなショッピングモールができ、
しかも元の経営者から新たな経営者に変わり
売り出しの日には大渋滞の原因になったりしている。

それが20年の時の流れ。

変化するのは自分の町だけではなく、
何処もそうなのだと納得するしかなかった。

ふと浦島太郎の話を思い出した。

浦島太郎が持ち帰った玉手箱の中に入っていたのは
老化を促す白い煙ではなく
老いた自信を映し出す鏡だったのではないかという説がある。

では、太郎はいったいどのくらいの時を経て帰ってきたのだろう。
確か昔読んだ本では「100年」だとか書いてあった気がする。
もしも、ファンタジーでなく現実の話が下敷きになっているなら
いくらなんでも100年はない。

としたら、その年月は
案外この20年ほどになるのではないか?

太郎が故郷を離れたのが20歳前後として
20年経つと40代。
白髪染めもない時代の40代はもうおじいさんだ。
桃太郎やかぐや姫など老夫婦の元に子どもが授かる話があるが、
あれも一説には
40歳くらいで授かった子どもの話だという。

話が少しそれた。

ともかく大人になってからの20年という時の流れは時に残酷で
私は失ったものを改めて認識することになった。

あの町にさえ行けば、あの頃の時が流れているような気がしていたのかもしれない。

思い出の味は思い出の中にとどめておいた方が良かったのかもしれない。

だが、これは区切りの年、もしかしたら卒業の年でもあるのだと、自分に言い聞かせている。

そして、今年最後の廃品回収で
南の島で買う羽目になってしまったTシャツ
向こうのデパートでパートナーに買ってもらった淡い色のカーディガンなどを
送り出したのだった。



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テーマ: 片付け・収納・お掃除 | ジャンル: ライフ

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